後継者倶楽部

あなたについたキングボンビーを無効化するのに必要なことは?~後継者から見た会社の景色

多分、後継者や二代目経営者なら、誰もが経験したことがあると思います。
何日もかけて、何週間もかけて、何か月もかけて、時に何年もかけて。
大変な思いで、作り上げてきたもの、打ち出してきたもの、表現してきたこと、
これが一瞬にして無効化されることを。

はじめに言っておくと、誰も悪くない。
そこに悪意があるわけではないのです。
しかし、結果として、一生懸命作り上げた砂山が、一つの波でさらわれてしまうかのように、
あなたの努力が、まさに水泡に帰するとことがある。

だれしも悪意がないから、振り上げたこぶしを下すところもなく、ただ悔し涙を目にためてひとりたたずむしかない。

こんにちは。
中小企業二代目サポーター田村薫です。

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ある二代目経営者の話です。

 

ある日、先代から言われました。
明日からお前は、代表取締役だ。
目の前には、何やら書類がいろいろと出され、実印を押すよう指示される。

その中には、この商売をやるための保証人としての印鑑。
私が反対した、事務所建設費の借り入れの保証人としての印鑑。
そんなものも含まれていました。

 

で、何が変わったと思いますか?
答えはシンプルです。
何も変わらなかった。

責任は譲られ、それ以外のものは何も受け取ることはありませんでした。
あいかわらず、社内で声が大きいのは先代。
あいかわらず、社内で報酬が最も大きいのも先代。
あ、そうそう、売り上げ数字の責任は受け取りましたかね・・・苦笑

 

知らぬ間にゴルフ会員権を買っていたこともあったし、
先代の乗る社有車の買い替えだって私に何の相談もありません。

はじめは、そんなことを期待したわけではないんです。
せっかく代表になったんだから、せめて社内の事は任せてほしいと思った。
そこでいくつか考えたことがあったわけです。
広告戦略にそこそこお金を使いたかった。
しかし、経理を見ている先代の奥さん(母)は常に「お金がない」が口癖。
会社のお金を、会社のために使うのに「また無駄遣いを・・・」と嫌味たらたら。

 

ならば、と社内のマネジメントを少し考えよう。
お金をかけずにできる事を、と考えたわけです。
社内の一体感を作り上げるために、風通しのいい組織をつくろうと考えます。
そのコミュニケーションの機会をたくさん作りました。
しかし、あるとき、我慢の限界が来たのでしょう。
先代は、みなを前にして
「何をちんたらやってるんだ!結論は決まってるだろ。」
と声を荒立てる。

ちょっとずつ、自分の考えを口にし始めた社員は、その怒鳴り声を聞いてまた貝のように口を閉ざしてしまう。
少しでも会社に活気を、と思ったのに、就業時間の社内はシー――ン。
静かなだけではなく、どんよりした空気が流れます。
先代が会社を出ると皆同時に顔をあげ、ホッとした表情をする。

 

けっして定着率の良くない職場。
小さな組織なので、人が辞めればその教育係は後継者。

そうそう、最近、いろいろとコンプライアンスなんていう言葉がよく言われます。
けど、後継者から見た先代は、儲けの事しか頭にない。
先代はそんな面倒くさいことやってられない、とばかりに完全無視。
いやいや、コンプライアンスがらみで問題が出たら会社は一発アウト。
ビジネスを続けられないんだから、今日の売り上げがあったって全く意味がない。
そんな進言をしたものの、「そうだな」と納得したふりをするものの、次の瞬間はまったく分かったような行動は示されない。

 

ところで、桃太郎電鉄というゲームご存知ですか?
言ってみれば、テレビゲーム版のすごろくのようなものです。
そこで、強烈なキャラクターとして「キングボンビー」というやつがいます。

それは、あるきっかけでプレイヤーの駒についてきます。
そうして、自分のターンが来るたびに、
・勝手に資産を安値で売却しまくる
・勝手に不要なツールを高値で買いまくる
という、プレイヤーに不利になることをあり得ない勢いでやりまくるわけです。

今までトップを走っていても、キングボンビーが付くことで最下位に落ちることも少なからずあります。
一生懸命積み上げてきたものを、一瞬にしてなかったことにする疫病神です。

 

不謹慎かもしれませんが、こんな後継者と先代の関係を見ていると、後継者から見た先代はまさにキングボンビーなのかもしれません。
一生懸命自分なりの想いで積み上げてきたものを、あっという間に無効化してしまう。
そして厄介なことに、キングボンビーは、プレイヤーの邪魔をしているとは考えていない。
つねにキングボンビーのセリフは「○○(プレイヤーの名前)のために××をしてやったんだよ」という事後報告。
そう、キングボンビーは、プレイヤーのために働いているつもりなのです。

 

先代をそんな疫病神に例えるなんて、お叱りを受けそうです。
ただ、後継者がきつい時期、先代の事をそうみてしまう事があるとしても、私は笑うことはできません。
やはり、先代は後継者のために、後継者が望まないことをやることがあるのです。それも、”善意”で。

 

だんだんと自分の道が見えなくなる後継者ははじめに、先代を変えようとします。

しかし、残念ながら、先代の行動を止めるのは、キングボンビーを止めることができないのと同様、ほぼ不可能でしょう。
ひざを突き合わせて、話し合いを重ねれば、その可能性はないわけではない。
しかし、その話し合い自体が難しい。
感情的になりますよね?
根本的な価値観において分かり合えないことが多いのです。

先代を変えようとするから、うまくいかないことにイライラがつのる。
そのイライラは、あなたからさらに冷静さを奪います。

 

そんな時にお伝えしたいアドバイスは、
気にするな
です。

 

拍子抜けする話かもしれませんが、期待すれば裏切られたときにストレスが増大します。
どうせそんなもの、と思うことができれば思った以上に楽なものです。

さて、この問題、何かをやったから一気に解決しました!
という話は残念ながらあまり耳にしません。
そういう意味では長期戦です。

その時に必要なのは、何があっても大丈夫。
そう思える心の余裕ではないでしょうか。
これをできなければ、アウト。
こうしなければ、もう終わりだ。
こんな風でなければ、絶対にダメ。
そんな思いは、あなた自身を苦しめるばかり。

何とかなるさ。
そう思うことができれば、100倍楽になるし、楽になれば今まで見えなかったことが見えてきます。

 

そんな視界を広げるために、同じ境遇にある人たちと交流することは、実は意外と大きな価値があるのではないでしょうか。
お互いを高めあう場所。
しかも、「お互い大変だね」と分かり合える仲間。
そんなコミュニティを作りたいな、と常々思っていました。

 

いよいよスタートさせました。
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